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インプラントは長持ちする?長持ちさせるための秘訣は?

インプラントとはどれぐらい長持ちするものなのでしょうか? インプラントとは丈夫な人工物ですが、お口の中(口腔内)の天然の歯が長持ちできない環境であれば、インプラントであっても長く持たせることはできない可能性が高くなります。しかし、口腔内の環境を整え、インプラントを埋めた後のお手入れもしっかりと行い、適切にメインテナンスを行えば、インプラントはより長持ちさせることが可能です。今回はインプラントを長持ちさせるためのいくつかの秘訣についてご紹介したいと思います。

インプラントの寿命って?

インプラントの寿命に関しては様々な研究に基づくデータがありますが、厚生労働省の調査によると、90%以上のインプラントが10年〜15年経過しても残存し機能していると報告されています。インプラント以外の治療法ですと義歯(入れ歯)でおおよそ5年、ブリッジは7~8年ほどでダメになるというデータもありますので、それに比べるとインプラントのほとんどが長持ちすると言えます。しかし、何もしなくてもそんなに長く持たせられるのかというと、そういうことではありません。インプラントはご自身の日々の心がけ次第で本来の寿命を短くしてしまうことも、より長くすることも可能な治療です。当院においても、適切なメインテナンスを心掛けている患者様のインプラントのほとんどが20年、30年と経過しても正常に機能しています。つまり、いわゆる“一生モノ”になり得る可能性があります。

インプラントが長持ちしなくなる原因

インプラントが長持ちしなくなる原因としてはいくつかあります。一番多いのが細菌感染です。インプラントの歯はいくら甘い物を食べても虫歯にはなりません。これは天然の歯とは異なる大きなメリットです。しかしながら、天然歯がばい菌により歯肉炎や歯周病という状態になってしまうのと同様に、インプラント周囲の歯ぐきが細菌に感染し炎症が生じてしまう場合があります(インプラント周囲粘膜炎)。この状態であればまだ、適切な治療を行えばほとんどが健全な歯ぐきの状態に回復しますが、放置したままの状態が長期間に及ぶと、その炎症はインプラントを支えている歯ぐきの中の骨にまで及び、インプラントが十分に機能できない状態になってしまう、というものです(インプラント周囲炎)。この原因の1つとしては、やはり、お口の中の清掃不足が挙げられます。

また、噛み合わせの力がかかりすぎることもインプラントの寿命に関わってきます。歯の噛み合わせというのは生涯同じではありません。口腔内の状態は経年的に変化します。噛んでいるうちにだんだんと噛み合わせが変化することもあるわけです。そのため噛み合わせが次第に変化すると、インプラントに過剰な力が掛かるようになってしまうことがあります。就寝時に歯ぎしりやくいしばりといった癖がある場合にもインプラントに異常な力がかかり続けます。インプラントというのは、通常の食事の際に噛む力などでは問題ありませんが、異常な力に対しては天然歯よりもダメージを受けやすいです。

経年変化という点で考えますと、インプラントの状態が良好でも、お口の中のその他周囲の歯が虫歯や歯周病により弱ってしまった場合や、抜歯をしたままの状態を放置した場合などは注意が必要です。健全なインプラントに今まで以上の負荷が掛かりダメージを与えてしまう可能性があります。悪くなってしまった部位はやはり早期の治療が望ましいです。

インプラントを長持ちさせるための5つの秘訣

インプラントを長持ちさせるためには、口腔内の環境をキレイに保つ、そしてインプラントにかかる力のコントロールをする、という2つのことが非常に重要だと言えます。我々歯科医師が、インプラントが長持ちするよう適切に治療することは当然ですが、皆様ご自身でもより長持ちするよう心掛けて頂きたい秘訣をご紹介いたします。

歯磨きをきちんと丁寧に行う

毎日の歯磨きは一番の基本になるものです。これが不十分ですとインプラントは本来の寿命より早くダメになってしまう可能性が高くなります。インプラントの日常の歯磨きには特別な器具や材料は必要ありません。基本的には自分の歯を磨くように歯ブラシ・歯間ブラシ・デンタルフロス等を使用しお手入れして頂ければ大丈夫です。注意すべきポイントとしてはやはり、汚れが溜まりやすい場所を重点的に行う、ということが挙げられます。インプラントの汚れが溜まりやすいのは、天然歯も同様ですが、インプラントの歯の根元、つまり歯と歯ぐきとの境目です。この部分に汚れが残らないよう意識して丁寧に磨くよう心掛けてください。歯ブラシの硬さはインプラントや歯茎を傷つけないよう、“ふつう”または“やわらかめ”の硬さを選ぶようにしましょう。歯間部は歯ブラシだけでは落とせませんので、歯間ブラシやデンタルフロスを併用するようにしましょう。また含嗽剤(うがい薬)の併用も効果的です。

定期的なメインテナンスを欠かさない

インプラントを良好な状態で保ち続けるには歯科医院での定期的なメインテナンスが必須です。これは天然の歯でも同じですが、定期的にインプラント部のチェック、噛み合わせのチェックを受け、問題があれば治療や調整などを行い、クリーニングで歯石や普段の歯磨きで落としきれない汚れを徹底的に落とし口腔内の環境を良好に保てるようにします。当院ではできれば3~4ヶ月に一度、少なくとも6か月に一度の定期健診をお勧めしております。

歯ぎしりのコントロールをする

歯ぎしりの自覚は難しいですが、もし歯ぎしりや食いしばりをしている可能性がある場合はそのままにしてはいけません。歯ぎしりによってインプラントに必要以上の力が加わり続けると、先述したようにそれがインプラントにダメージを与える要因になり得ます。歯ぎしりのほとんどは眠っている間に起こりますので、自覚があってもなかなかコントロールすることが難しいものです。そのような場合には、歯ぎしりから歯を守るマウスピースを作成することをおすすめしております。就寝時に装着するだけで脱着もご自身で容易に可能です。不必要な負荷が天然歯にもインプラントの歯にも掛からないよう、歯ぎしりの力から守るようにしましょう。

なるべく禁煙

タバコを吸うと、体にとっては様々なリスクが増大しますが、歯周病で歯を失うリスクも非常に高くなります。これはインプラントにとっても全く同じことが言えます。タバコをお吸いになられる方はなるべく禁煙することをおすすめします。

健康的な生活を送る

体の健康状態が悪くなると、抵抗力が落ち、歯周病などの感染症にかかりやすくなります。お口の中ももちろん体の一部です。健康的な食生活や運動を心掛け、体を健康に保つことで、インプラントもより長持ちしやすい環境となります。

研究・調査
海外レポート
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