Astra Tech Implant System® EV – Simplicity without compromise
こんにちは。アーティスティックデンタルの新井です。
今回はDentsply Sirona社の新世代インプラント Astra Tech Implant System™ EV:アストラテックインプラント EVをご紹介させて頂きます。この新世代のインプラントシステムは、2014年に海外で発表され、日本では2017年から導入されました。以降現在までラインナップが拡充しております。
近年、インプラント治療は日本でも益々普及し、それに伴い各インプラントメーカーから様々なインプラントが開発・発売されております。現在では世界に約270種類、日本で販売されているものでも約30種類以上のインプラントがあると言われています。そのような中、世界では3メーカーがシェアのほとんどを占めており、その中の1つがDentsply Sirona社であります。
Dentsply Sirona社のAstra Tech Implantは世界でも最も信頼性のあるインプラントの1つとして評価され、当院でも長年使用しているインプラントの1つであります。2011年、アストラテックインプラントから Osseospeed™(オッセオスピード)と呼ばれる新しい表面性状(インプラント表面と骨の結合を促すための重要なポイントです)の特徴をもつインプラントが日本で発売されました。このインプラントは従来まで使用されてきたTioBlast™(タイオブラスト)というインプラントを更に進化させたインプラントです。
その後、このOsseospeed™(オッセオスピード)はさらに研究開発が続けられ、形状の改良が施されました。結果、さらに進化を遂げたアストラテックインプラントは20パーセントも強度がアップしました。口腔内で長期に渡り機能するインプラントにとって、強度は非常に重要な指標の一つです。
その進化したインプラントが、今回ご紹介するAstra Tech Implant System™ EV:アストラテックインプラント EVと呼ばれるインプラントシステムです。
そのデザイン理念は、クラウン(歯冠部)から歯根まで天然歯になるべく近い理想的な最終結果を考慮し、インプラント治療の成功を確保するため、部位に応じたクラウンダウン・アプローチを利用しています。
~アストラテックインプラントシステムEVは、天然歯列を念頭に置いてデザインされています~
アストラテックインプラントシステムEVは、スペースおよび骨量が限られた状況など、どのような症例にも適応できるようにさまざまな形状、直径や長さのインプラントがラインアップされています。
~機械的安全性を確実にするための試験~
インプラント/アバットメントおよびアバットメント/シリンダーの接合部の90°軸外荷重による疲労強度試験の結果を示しています。
従来のインプラントTX4.0との比較し、一般的に用いるサイズ(3.6S以上)において、37%~174%アップという確実な機械的強度の向上が認められます。
~アストラテックインプラントの特徴~
アストラテックインプラントは数多くの研究から開発された4つの特徴的な性能Astra Tech BioManagement Complex™(アストラバイオマネージメントコンプレックス)を兼ね備えています。
The foundation – Astra Tech Implant System BioManagement Complex®
機能と審美と生物学の優れた調和
– アストラテック インプラントシステムバイオマネ-ジメント コンプレックス
- OsseoSpeed™
- インプラント表面の特徴的性状
- MicroThread™
- 骨との安定性向上
- Conical Seal Design
- 上部構造(歯)との安定性向上
- Connective Contour™
- 軟組織(歯肉)との安定性向上
OsseoSpeed®‐より多くの骨をより早く
- より多くの骨を作る
- より短時間で作る
オッセオスピード表面は初期の骨治癒に刺激を与え、治癒を加速します。結果として、骨形成量が増加し、より強固な骨とインプラントの結合が得られます。
ISQ値の顕著な低下が無く、治癒の初期段階で、骨支持が得られていることを示している
MicroThread® – 生体力学的な骨の刺激
マイクロスレッドは、理想的な応力分散と負荷を提供する細かなスレッド
1992年に導入27年の臨床実績
840種類の異なったねじの断面形状を解析した結果、大きなスレッドに比べて、マイクロスレッド(細かなスレッド)の先端に発生する引張応力が低いことが証明されました。それは骨への負担を軽減し、骨の接触を増加させることと意味しています。
また、細かなスレッドにより、インプラントの直径をほぼ同サイズに保つことができ、軸方向への受容能力をたかめます。
Conical Seal Design™ – 強固で安定した適合
コニカルシールデザインは、円錐形のインプラントとアバットメントの接合部を指します。この接合様式によって、荷重を骨の内部に伝達し、インプラント辺縁骨への応力を分散します。
- アストラテックインプラントシステム開発以来変わっていないデザイン
- 強固で緊密な封鎖(微小動揺と微小漏洩を最小化)
- 咀嚼力を適切に分散して骨に伝える(ピークストレスの減少)
- インプラントとアバットメントとの接合面における正確かつ密接した接合は、よりアバットメントの取り扱いを迅速かつシンプルにします。(セルフ-ガイディング)
Connective Contour™ – 軟組織接触ゾーンとボリュームの増加
アバットメントをインプラントに装着する際に形成される、特長的な形状
- アストラテックインプラントシステム開発依頼変わっていない
- 軟組織構成要素
- 接合上皮
- 結合組織
- 辺縁骨を保護
- 垂直的安定化
Connective Contourにより, 与えられた垂直的な軟組織の寸法の中で軟組織接触域とボリュームを増加出来る
~アストラテックインプラントは、埋入時から辺縁骨のレベルが維持されることが多くの論文によって証明されています~
~アストラテックインプラントの開発の歴史~
- 1985年
- アストラテックインプラントの開発スタート Conical Seal Design™
- 1989年
- TiOblast™の開発
- 1991年
- Microthread™開発
- 1991年
- ヨーロッパ市場でアストラテックインプラントの発売
- 1992年
- オスロ大学(Jan Eric Ellingsen)とOsseoSpeed™の共同研究を開始
- 1996年9月
- 日本でアストラテックインプラントTioblast™の発売
- 2000年
- OsseoSpeed™の臨床試験
- 2002年
- OsseoSpeed™の多施設臨床試験の開始
- 2004年
- EAO(ヨーロッパインプラント学会)でOsseoSpeed™の発表
- 2011年8月
- 日本でOsseoSpeed™の発売
- 2013年
- 日本でOsseoSpeed™ TXの発売
- 2014年
- 海外にてOsseoSpeed EV.の発売
- 2017年
- 日本にてASTRA TECH Implant System EV.の発売
- 2018年
- オッセオスピードプロファイルEV、日本で発売
- 2019年
- 2020年
~OsseoSpeed™ の開発コンセプト~
- More bone,More rapidly
- より多くの骨をより短時間で
★ これらのことが、多くの患者様の利益を高めます。
1992年から始まったアストラテックとオスロ大学(Jan Eirik Ellingsen教授)との共同研究は、「チタンインプラント表面の、フッ化物による、わずかな化学的修正が骨の治癒を大幅に改善させる」という発見からはじまっています。
この研究の成果は、患者様にとって、より信頼性の高い結果を導くと共に、より困難な臨床状況への適応拡大を可能にします。また治療プロトコルの短時間化も可能になります。
TiOblastとOsseoSpeedの15,000倍の電子顕微鏡写真です。
強拡大で観ると、右のOsseoSpeedの写真では、ミクロの凸凹表面に加えてさらに細かい凸凹が表面に点在していることがわかります。
バーは 2 µmを示しています。 (赤血球の直径は約 7 µm)。化学処理の結果、OsseoSpeed™表面にナノメーターサイズの暗い部分と白い部分が観察されます。(マイクロメートル = 0.001ミリメートル、1000ナノメートル)その表面には化学的処理によりナノレベルの粗さが付与されています。この特徴的な表面性状が、さらなる優れた結果をもたらすものとなりました。
当初の第一世代のインプラントと呼ばれるインプラントの表面は、“機械研磨(マシーンサーフェス)”と呼ばれる“ツルツル”とした表面性状のものが用いられていました。その後、数多くの研究がなされ“ツルツル”とした表面よりもある程度“ザラザラ”した表面の方が骨との結合が良いことが分かり、現在のインプラントの主流は第二世代“粗面(ラフサーフェス)”の時代になっています。そして現在では、この第二世代インプラントを更に改良すべく様々な研究が行われています。
今回のOsseoSpeed™インプラントは従来のTioBlast™インプラントの表面を、フッ化物を用いてさらに表面処理しています。その結果、従来のインプラント以上に骨との治癒に良好な結果をもたらす適度な表面粗さを兼ね備え、化学的に処理された新世代のインプラント表面となりました。
~OsseoSpeed™の特徴~
現行及び従来のアストラテック表面に関する前臨床データをまとめたものがグラフで表されています。横軸が治癒期間で縦軸が骨のサポートを示しています。従来、機械加工研磨表面とTiOblast™ 表面の間で多くの比較を行ってきましたが、合わせて、TiOblast表面とOsseoSpeed™.表面を比較しています。
Osseopeed™の前臨床研究の結果をまとめると、初期の治癒段階で骨接触率が30-60%増加し、維持力(引き抜き、押し出し、除去トルク、せん断強度)が30-50%増加することが記録されています。OsseoSpeed™は初期の治癒段階で骨支持をより高いレベルに増加する上で、大きな役割を演じていると結論付けられます。
また、骨支持の増加が、より長い治癒期間後も維持されるという効果も示されています。
オッセオスピード™は、より早い骨の治癒を促進する能力が証明されています。OsseoSpeed™インプラントから得られる利益
OsseoSpeed™は、早期治癒を刺激し、骨治癒プロセスを速める独特の表面性状をもっています。フッ素処理した微小な粗面は、骨の形成を促進し、骨とインプラントの結合も強固になります。インプラントネックのMicrothread™と合わせてOsseoSpeed™は真の組織再生促進力をもたらし、治療の信頼性と有効性を高めます。
そして、OsseoSpeed™から得られるそれらの恩恵は、すでに十分な裏付けをもって実証されています。
~Astra Tech Dental カタログより~
~多くの文献に支持されるアストラテックインプラント~
アストラテックインプラントシステムは世界で最も研究されているインプラントの一つです。また、アストラテックインプラントは製品の開発において、様々な研究や文献を重要なものと位置づけています。
従来より使用されてきたTiOblast™ 表面を支持する参考文献は現在130編(前臨床文献:50 編、 臨床文献:80 編)
ヨーロッパで発売されて現在7年経過した時点でOsseoSpeed™表面を支持する参考文献はすでに45編(前臨床文献:28 編、 臨床文献:17 編)
また、アメリカの政府機関であるアメリカ食品医薬品局:FDA(Food and Drug Administration)では、 “他の表面のインプラントでは効果が劣るような、特に、柔らかい骨での使用がOsseoSpeed™ では示されている。” と2006年4月に承認されています。
優れた臨床成果
OsseoSpeed™ 表面の特徴や性状は多くの文献で評価され、良好な骨反応や最適な臨床成果が明らかにされています。また発表されているデータから、OsseoSpeed™インプラントの生存率は、委縮した上顎無歯顎やサイナスリフトを施術した上顎臼歯部での即時荷重、抜歯窩即時埋入、委縮した下顎の神経付近部への埋入など、一般的に困難と思われる症例を含んでも94.5%から100%と報告されており、安全に使用できます。
~Astra Tech Dental カタログより~
今回は、Dentsply Sirona社の新世代インプラントシステム・AstraTech Implant OsseoSpeed™ EVをご紹介させて頂きました。インプラントは各社から様々な製品が発売され、数あるインプラントシステムの中には他にも優れたインプラントがございます。そのような中、今回ご紹介させて頂いたOsseoSpeed™ EVインプラントは、数多くの研究・文献に支持された世界でも認められる優れたインプラントシステムの一つです。当院ではインプラント治療を受けられる皆様により安心して頂けるよう、良質で優れたインプラントシステムを採用しております。