BIOPEX-R骨新生機転
2008/02/25
10.BIOPEX-R骨新生機転
Microsc Res Tech. 2007 Oct 17;Histological evaluation on bone regeneration of dental implant placement sites grafted with a self-settingalpha-tricalcium phosphate cement.Nakadate M, Amizuka N, Li M, Freitas PH, Oda K, Nomura S, Uoshima K, Maeda T.
Division of Oral Anatomy, Niigata University Graduate School of Medical and Dental Sciences, Niigata 951‐8514,Japan.
本研究は、自己硬化性3燐酸カルシウムセメント(BIOPEX-R)をインプラント植立部位へ移植した時の、組織学的所見を検索することである。生後4週のWistar系雄性ラットの上顎に植立したインプラントに隣接して規格化された骨欠損を形成した。骨新生を次の2箇所で観察した。すなわち1.歯槽骨に隣接したBIOPEX-Rの表面、2.移植剤とインプラントの界面である。1.では酒石酸抵抗性フォスファターゼ(TRPase)反応性破骨細胞が,
BIOPEX-R表面に集積しインプラントの方向へ移動した。その後アルカリフォスファターゼ(ALPase)陽性骨芽細胞が新生骨マトリックスを形成し、破骨細胞とのカップリングを示した。一方で2.では、多数の破骨細胞が、初期にインプラントと移植剤の狭いギャップに侵入し、ふたたびALPase陽性骨芽細胞が破骨細胞とのカップリングを示し、骨吸収後に新生骨のマトリックスが形成された。透過型電子顕微鏡所見では、2.の領域においてインプラントと新生骨は、細胞数は少ないものの、直接接触していた。1.,2.領域ともに新生骨は組織学的に皮質骨に類似の形状を示した。またCa,P,Mg量は以前にそこに存在した皮質骨に類似していた。したがってBIOPEX-Rをインプラント周囲に移植した場合、皮質骨が形成されることがわかった。
解説:新生骨形成時に最初に骨吸収が生じて、それに誘発されて新生骨の器質形成が発生することは新知見であると思う。伊藤正夫先生訳