PDGFによるGBR
2008/02/25
05.PDGFによるGBR
Int J Periodontics Restorative Dent. 2006 Oct;26(5):415-23.Comment in:
Int J Periodontics Restorative Dent. 2006 Oct;26(5):409-11.
Vertical ridge augmentation by means of deproteinized bovine bone block and recombinant human platelet-derivedgrowth factor-BB: a histologic study in a dog model.Simion M, Rocchietta I, Kim D, Nevins M, Fiorellini J.
Department of Periodontology, School of Dentistry, University of Milan, Italy.
本研究の第1の目的は、犬を用いた規格モデルにおいて、精製された人遺伝子組み換え血小板由来成長因子(rhPDGF-BB)と脱タンパク子牛海綿骨のブロックを用いた垂直性骨造成の成果を評価することである。第2の目的は吸収性バリアーメンブランが本法の成果を改善するかどうか検索することである。
フォックスハウンド成犬6頭を実験に供し、両側すべての下顎小臼歯を抜歯した。抜歯時に垂直性骨欠損を形成した。3ヵ月後に人工的に作った骨欠損に対して、移植を行なった。A群は脱タンパク子牛海綿骨ブロックとコラーゲンバリアーメンブレンを併用した。
B群は脱タンパク子牛海綿骨ブロックにrhPDGF-BBを注入したものを用いた。C群はB群と同じ処置に吸収性コラーゲンバリアーメンブランを用いた。4ヵ月後に動物を屠殺した。組織学的所見では、B群において大量の新生骨を認め、骨インプラント接合面積も高く、新生骨はカバースクリューの上まで形成されていた。この犬を用いた臨床前研究成果はrhPDGF-BBを脱タンパク子牛海綿骨ブロックと併用し、かつバリアーメンブランを使用しない方法の優位性を示しおり、下顎高度顎堤吸収症例において十分な骨新生を提供しうる可能性を示した。加えるに、成長因子が介在する骨再生療法においては骨膜由来の前骨芽細胞の重要性がポイントであると示唆された。
解説:現在、北米、欧州ではBMP2やPDGFをキャリアーとしてバイオオスを使用した商品が販売されている。これらのサイトカインは生体内で異所性に骨を誘導することが解明されている。これらを用いたGBRはOsteoprogenitercellsを活性化することから仮骨機転が開始するので、骨膜を遮断するバリアーメンブランは不要とする考え方である。一方で従来のGBRは、骨欠損を周囲から隔離することで、骨由来の細胞のみが隔離環境を占めるという考え方である。したがってバリアーメンブランが不可欠であった。つまるところ現況ではGBRの理論的根拠はいまだ脆弱である。本論がGBRの開発者によって著されたことも付記したい。伊藤正夫先生訳