インプラントの無痛治療
怖がりの方でも安心、治療はうつらうつらの状態で
インプラント手術というと「痛い」「怖い」というイメージがつきまとうようですが、当医院での治療は、ジェントルタッチですから決して痛くはありません。 それでも怖いとおっしゃる方のために、当医院では「静脈内鎮静法」「全身麻酔」の2つのオプションをご用意しています。無痛歯科医療のような先端歯科医療を行える専門医療施設は日本国内ではごく少数に限られていて、歯科医ならどこでも行えるというものではありません。
静脈内鎮静法は、歯科医療がとにかく怖いとおっしゃる方、歯を抜いたりする手術、1~2本のインプラントを植立するような場合に用いる麻酔法で、無痛的に治療をうけることができます。この方法を用いる場合は治療の前にまず超短時間作用型のベンゾジアゼピン系麻酔薬でミダゾラムという薬を緩除に静脈注射します。これによって1時間くらいはうつらうつらする状態をつくり出すことができるわけです。痛み自体は普通の局所麻酔で取り去るのですが、局所麻酔の注射程度の痛みすらなく、治療が終わるまでまったく痛みを感じることはありません。この方法を用いると、精神的な緊張感がまったくなくなるため、ほとんどの患者様がうつらうつらして心地よい状態のまま、知らないうちに治療が終わっていたとおっしゃいます。
静脈内注射は約1時間で覚醒しますが、ふらつかずに歩行できるようになるためには、さらに1時間の休息が必要です。
静脈内鎮静から醒めても、まだ局所麻酔が効いているので、すぐに痛みを感じることはありません。痛み始める前に鎮静剤を服用していただきますから、その後も痛みを感じずにすみます。
この静脈鎮静法を受けるにあたっての注意事項として、患者様には前もって胃の中を空にしておいていただかなければなりません。胃の中に食べ物が入っていて、もし静脈内鎮静中に吐いてしまったりすると、誤ってそれを気管の中に吸い込んでしまうことがあります。ご存じのように胃の中には強酸が存在するので、それが気管や肺に入ると重大な損傷を生じる危険性があります。そうした危険性を未然に防ぐためには、絶飲絶食を必ず守っていただきたいのです。
朝、治療を受けられる方は、前夜12時以降は何も口に入れてはいけません。午後、治療を受けられる方は、朝食を軽く摂り、それ以降は何も口にしてはいけません。持病の薬を毎朝服用しなければいけない場合は、ごく少量の水で服用するようにしてください。この条件がまもられなければ、静脈治療法は行うことができません。
なお、車での来院は危険ですから絶対避けてください。
3時間を超える手術は全身麻酔で眠っているうちに終了3時間を超えるインプラント手術の場合は、静脈内鎮静法では対応できないため、全静脈麻酔(全身麻酔)を行います。まず、全身におよぶ精密検査を行った後、手術を開始。手術中は超短時間作用薬のバルビツール酸誘導体であるプロボフォールを、専用の注入ポンプで静脈内に微量に注入し続けます。注入が続いている間は昏睡状態になっていますから、手術時間に応じて麻酔深度と覚醒を自由に調節することができます。手術は程度によって他の薬剤を追加することもあります。
手術中は意識レベルの低下とともに、血液循環や呼吸調整能力もわずかに下がってくるため、医師は適時それらを管理・コントロールしなければなりません。それ以外にも手術中は心電図、連続血圧、心拍数、動脈血酸素飽和度など常にモニターしながら、万全な体勢で臨んでいます。
患者様ご自身は手術中はまったく意識がなく、目が覚めたときは、手術がすっかり終わっているというわけです。術後しばらくは休息が必要ですが、全身麻酔の場合も、入院の必要はなく、その日のうちに帰宅することができます。言うまでもなく、車での来院は絶対禁物です。
全身麻酔を受ける際は、静脈鎮静法の項で述べた絶飲絶食をより厳格に守っていただかなければなりません。手術前夜から食べ物も飲み物も一切口にせず、胃の中を空っぽの状態にしておくことが絶対条件です。そうすることによって初めて、安全に、より快適な治療を受けていただくことが可能になるのです。